脳梗塞6、脳梗塞の治療(慢性期)
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◆ やぶ医師のひとりごと 第 54 号 ◆
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H19年1月12日発行 購読者数 8895名
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<本日のテーマ> 脳梗塞6
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脳卒中シリーズの脳梗塞について。
先週までのまとめ。
●脳梗塞とは
「脳に行く血管」が「詰まる」病気。
●脳梗塞の種類
1)ラクナ梗塞
2)アテローム血栓性脳梗塞
3)心原性脳梗塞
●脳梗塞の症状
□片麻痺(半身が動かなくなること)
□失語症(言葉がしゃべれなくなること)
□意識障害
□頭痛、吐き気は、ない事も多い。
●脳梗塞の前駆症状
1.食事中にはし(箸)を落とす。
2.言葉が出てこない。
3.片側の手足がしびれる。
4.ものが二重に見える、片方の目が見えにくい。
5.パピプペポ・ラリルレロがはっきり言えない。
6.目の前が暗くなる。
7,ふらっとする、ふわっとする感じ
そういった症状が数分~数十分間続く。
●脳梗塞の治療(急性期)
○血栓溶解療法
「脳に行く血管」に血が詰まったら、すぐに溶かす治療。
脳梗塞になってから3時間以内でしか、できない治療なので、
「脳梗塞の症状」を疑うような症状(片麻痺、 失語症、
意識障害など)が出たら、すぐに病院に連れて行く。
○脳のダメージを少なくする治療(内科的治療)
△脳梗塞後に、脳の膨らみを少しでも抑えて、
脳のダメージを抑える治療(点滴)。
△脳の循環を良くする治療(点滴)。
△脳の神経細胞を保護する治療(点滴)。
○外科的治療
△脳がむくんでいる間、一時的に頭蓋骨の一部を切ってはずす手術。
△動脈に詰まった血の固まりを取り除く手術。
△血液の不足した脳に対する血管のバイパス術。
「脳梗塞」っていうのは、「脳に行く血管」が詰まる病気です。
そして、その結果、片麻痺、失語症、意識障害なんかの
症状が出るって話でした。
それで、脳梗塞の治療は基本的には内科的な治療ですが、
場合によっては手術が必要になる事もあるんでしたね。
で、今までやってきたのは、脳梗塞になって「すぐ」。
医学的には「急性期」とか、「超急性期(3時間以内)」
の治療なんです。
脳梗塞になって、「すぐ」の治療は、ベストは脳に行く血管の
血の固まりを溶かしてあげて、脳に血液を流す治療。
それが無理なら、脳のダメージを抑えたり、
脳の循環を良くしたり、
脳の神経細胞を保護する治療をするんです。
で、今日は、脳梗塞の治療の続き、「慢性期の治療」についてです。
脳梗塞になって、急性期の治療が終わったら、慢性期の治療をします。
急性期の治療は、「脳のダメージを少なくする事」が目的ですが。
慢性期の治療は、「もう一度脳梗塞にならないようにする事」
が目的になります。
いわゆる、「脳梗塞の再発予防」です。
脳梗塞というのは、「脳に行く血管」に血が詰まる病気なので。
一言で言うと、血を詰まらせないようにするんですよ。
テレビや雑誌で言っている俗語を使うと、
「サラサラ血液」にするって事ですね。
納豆とか、そういう食べ物を食べる、ってのもあるんですが。
基本的には、「薬物療法」になります。
●脳梗塞の治療(慢性期)
○内科的治療
1,血液をサラサラにする治療
ちょっと細かい話になっちゃいますけどね。
以前もやりましたけど、脳梗塞の種類には
1)ラクナ梗塞、2)アテローム血栓性脳梗塞、3)心原性脳梗塞
の3種類があるんです。
で、おおざっぱに分けると、1)、2)は「動脈硬化」が原因
3)は「心臓」が原因なんで、「原因」が違うんですよ。
だから当然、使う薬も違います。
1)ラクナ梗塞、2)アテローム血栓性脳梗塞
この2つは、動脈硬化が原因で、血液をサラサラにする薬の中でも、
「抗血小板薬」という薬を使います。
「痛み止めの薬」で、「バファリン」とか「アスピリン」
って薬を聞いたことがありませんか?
あれ、実は脳梗塞の治療で使うのと、同じ薬なんですよ。
「アスピリン」って薬は、たくさん飲むと、
痛み止めや解熱作用があるんですけど。
もっと少ない量を飲むと、血液をサラサラにする効果があるんです。
同じ薬でも、「量」によって効果が違うって、珍しい薬です。
でも、薬の量は医者とか薬屋さんが決めていますから。
自分で血液をサラサラにしたいから、って思って
勝手に痛み止めの薬を飲んじゃ駄目ですよ!
痛み止めは、胃や腎臓に悪いですからね。
3)心原性脳梗塞
この予防には、「ワーファリン」って名前の薬を使います。
この薬が、今のところ、全ての飲み薬の中で一番、
血液を固まらせないって効果が強いです。
血の塊を溶かすこともできる強力な薬です。
「心原性脳梗塞」というのは、心臓の中で固まった血液が、
脳に行く血管に飛んで行って、脳梗塞になるので。
心臓の中で、血液を固まらせない治療をする必要があります。
また、この薬を飲んでいる人は、「納豆」を食べることができません。
血液をサラサラにする薬っていうのは、痛み止めと同じ種類の
アスピリンやバファリンをはじめ、いくつかあるんですが。
納豆を食べたら駄目って薬は、ワーファリンだけです。
2,原因となる病気の治療
脳梗塞の多くは、「動脈硬化」が原因ですから。
何回も出ていますが、「動脈硬化」というのは、
高血圧、糖尿病、高脂血症といった病気や、
タバコ、そして年齢が上がると進みます。
ですから、もう一度脳梗塞を繰り返さない為に、
タバコを吸っている人は、まず禁煙。
高血圧、糖尿病、高脂血症といった病気のある人は、
食事・運動療法や、それに対する薬物療法を行います。
この中でも特に「高血圧」の治療が最も重要です。
○外科的治療
動脈硬化性の脳梗塞の中でも、直径5~8mmの「太い血管」
の中にコレステロールや脂肪がたまって動脈硬化が起こり、
血の塊で血管が詰まるのを、アテローム(じゅく状硬化)
血栓性梗塞って言うんです。
イメージ図としては、これを見てください。
http://www.kudohchiaki.com/contents/lobby/mini/09.html
この真ん中、右に血管の絵がありますけど。
血管の内側が徐々に狭くなっていますよね。
この狭くなってる部分の事を、アテロームって言います。
正常な太さの血管が、突然詰まるって事は、あんまりないですが。
動脈硬化が進んで、狭くなった血管は詰まりやすいです、当然。
だから、検査をして脳に行く血管(頸動脈)が、すごく狭い場合、
それを事前に取ってしまう、という治療が行われます。
1,頸動脈内膜切除術
脳に行く血管の中でも、内頸動脈って言う動脈の根元
(ちょうど顎の骨の内側付近)が、一番狭くなりやすいんですよ。
で、この部分がすごーく狭く(具体的には70%以上の狭窄)
なった場合には、内頸動脈の根元の部分を直接切開して、
狭くなっている所(アテローム病変)を取り除く手術を行います。
2,血管内手術
脳に行く血管を機械的に、風船で膨らませて
広げてしまう、という治療があります。
しかも、頭や首を手術で切り開かないで、血管の中に
管を通して広げるだけで治療ができるんですよ。
それが、「血管内手術」です。
名前そのまんまですね(笑)
このページの絵に描いてあるんですが。
http://www.nmh.or.jp/noudou/kyousaku.htm
上の絵のように、狭くなった血管の中に、
まずは風船のような物をしぼんだまま入れます。
そして、血管の狭い部分に持っていって、
そこで圧力をかけて膨らまします。
そして、血管が広がった後、この写真にある
「ステント」という物で補強するんです。
これが、血管内手術です。
同じ様な血管内手術を、心臓では循環器内科でやるんですよ。
狭心症とか、心筋梗塞とか、心臓の血管が狭くなる病気で。
心臓の血管内手術は、私もたくさんやった事ありますよ。
もちろん、頭はないですけどね。
頭に関しては、この治療はかなり最近の治療ですし、
医者の技術も必要ですから。
できない病院も多いですよ。
今日はちょっと専門的な話が多くなってしまいましたねー。
細かい薬の名前とか、手術の名前を覚える必要はないですから。
あくまで、こういう病気だから、こういう治療をするんだ、
という「イメージ」で覚えて貰えば良いですよ!
という事で、今週は脳梗塞の予防的治療についてでした。
そいじゃあ、今日はここまで。
いつものように、下にまとめを書いておきます。
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【今日のまとめ】
●脳梗塞の治療(慢性期)
○内科的治療
1,血液をサラサラにする治療
2,原因となる病気の治療
○外科的治療
首の血管が狭い場合に、予防的にその部分を取る、もしくは広げる。
1,頸動脈内膜切除術
2,血管内手術
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